高橋大輔
1980年埼玉県生まれ。埼玉県在住。
色彩が幾層にも重なった厚塗りの抽象絵画で知られる一方、近年では具体的なモチーフを持つエキセントリックな絵画を発表している。
2011年以降の約5年間に、高橋は、夜に蛍光灯の下で絵画と対峙して描く厚塗りの《夜の絵画》から、家族構成や生活環境の変化により、昼型の制作リズムになったことで、明るい日のもとで自身の外側の世界も視界に入れながら描く薄塗りの《昼の絵画》へと転換し、さらに、画面の上層にニスを塗布し、自身と絵画を物理的に距てた《眠る絵画》へと作品を展開させた。
その後、2016年頃からは、数字などの記号が描かれた作品が萌芽的に現れ始め、近年では、縄文/弥生などの時代年号や平成/令和などの元号を表す漢字(表意文字)を画面に取り入れた《白昼夢》シリーズを発表。さらに、子供の玩具、フライパン、一円玉、パイナップル、家の外壁など身の回りにあるものをモチーフとする作品へと推移している。
絵画空間が生活空間と密接な関係を取り結びながら深化する高橋の作品は、すでに見知ったはずの世界と出会い直し、新しく世界を捉えなおすことのできる装置として、私たちの前に現れる。
時事刻々と変化する環境に真摯に向き合いながら作品を展開させてきた高橋は、これからも絵画への飽くなき探求の手と思考を止めることはないだろう。
近年の主な展覧会に、「アシャン」(2023年、CADAN有楽町、Art Center Ongoing)、「絵画をやる-ひるがえって明るい」(2022年、ANOMALY)、都美セレクショングループ展 2022「眼差しに熱がこぼれる」(2022年、東京都美術館)「約束の凝集 vol.5 高橋大輔|RELAXIN’」(2021年、gallery αM)、「2020年のさざえ堂ー現代の螺旋と100枚の絵」(2020年、太田市美術館・図書館)、「NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体」(2016年、埼玉県立近代美術館)、「ペインティングの現在 – 4人の平面作品から -」(2015年、川越市立美術館)、「絵画の在りか」(2014年、東京オペラシティアートギャラリー) などがある。
コレクション
高橋龍太郎コレクション
Exhibition