高橋大輔
1980年埼玉県生まれ。埼玉県在住。
立体作品と見紛うほどの、幾重にも塗り重ねられた厚塗りの抽象絵画で知られる一方、近年では具体的なモチーフを持つエキセントリックな絵画を発表している。
主に2011-2016年の間に制作された、夜に蛍光灯の下で絵画と1対1となって描く厚塗りの「夜の絵画」から、家族構成や生活環境の変化により、制作リズムと自身の意識の転換期が重なったことで、明るい日のもとで自分の外側の世界も視界に入れながら描く薄塗りの「昼の絵画」へと転換し、さらにその上層にニスをかけて自身と絵画を物理的に離した「眠る絵画」へと作品を展開させた。
2016年頃から、しばしば数字などの記号が描かれた作品が萌芽的に現れ始め、近年では文字を画面に取り入れた「白昼夢」シリーズを発表。さらに子供向けの玩具、車や台所用具、一円玉などの身の回りにあるものをモチーフにした現在の作風へと推移している。これらの作品は日常の延長線上に絵画が存在していることを私たちに思い起こさせ、絵画空間は生活空間と密接な関係を取り結びながら深化してゆく。高橋は時々刻々と変化していく環境に真摯に向き合いながら、その作風を移行させてきた。これからも絵画への飽くなき探求の手と思考を止めることはないだろう。
近年の主な展覧会に、個展「約束の凝集 vol.5 高橋大輔|RELAXIN’」(2021年、gallery αM)、「2020年のさざえ堂ー現代の螺旋と100枚の絵」(2020年、太田市美術館・図書館)、「NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体」(2016年、埼玉県立近代美術館)、「ペインティングの現在 – 4人の平面作品から -」(2015年、川越市立美術館)、「絵画のありか」(2014年、東京オペラシティアートギャラリー) などがある。
コレクション
高橋龍太郎コレクション