2022年4月27日 (水) - 2022年6月4日 (土)
開廊時間: 火・水・木・金・土 12:00 – 18:00
日月休廊 *本展は会期中の祝日(4/29、5/3、4、5)も開廊いたします。
*展覧会初日アーティストは在廊いたしますが、新型コロナウイルス感染拡大防止への配慮から、オープニングパーティは行いません。
*ご来場に際しての事前のご予約は不要です。
*ご来場に際してのお願いが文末にございます。
制作協力:
、EDI MAK
歌舞伎町商店街振興組合、西武新宿北口商和会、東急株式会社、株式会社東急レクリエーション、世紀東急工業株式会社、日本街路灯製造株式会社
スタートバーン株式会社、三井工務店
ANOMALYでは、2022年4月27日 (水) より6月4日 (土) まで、Chim↑Pom from Smappa!Groupの個展Chim↑Pom from Smappa!Groupを開催いたします。
Chim↑Pom from Smappa!Groupの開催初日を以って当面アーティスト名を改める「Chim↑Pom」の一旦の最後であり、新生Chim↑Pom from Smappa!Groupのはじまりとなる本展は、森美術館で好評開催中の個展ハッピースプリング、および4月30日から始まる無人島プロダクションでの個展いつのことだか思いだしてごらんと会期を重ね開催いたしますので、合わせてみなさまのご来場とご支援を賜れましたら至極幸甚です。
なおこの度改名に至った由来は、アーティストの「改名のお知らせ」に詳しく、またSmappa!Groupが、Chim↑Pom from Smappa!Groupについてアナウンスしておりますので、合わせてご一読ください。
予てよりホワイトキューブという現代美術のメインサイトの枠外で活発に活動し、逆説的に現代美術フィールドの坪数を押し拡げてきたChim↑Pom from Smappa!Groupは、グループ結成時より「街」と深い関係にあります。街や日常にある現物やそこで起こる事象を美術館やギャリーに持ち込み、場所を異化させ、時代のリアリティを忖度なく追求してきた彼らは、独自の視点から都市論を展開してきました。
コロナ禍にあった「Tokyo 2020」オリンピック開催前後のドタバタや、大阪・関西万博を控えスクラップアンドビルドが繰り返される日本の街中で、なにが採択され、なにが排除されているかを日々痛感するChim↑Pom from Smappa!Groupが、多様性をもった街の在り方とはなにかを問います。
今回の展覧会では、Chim↑Pom from Smappa!Groupの改名の由来でもある、歌舞伎町のホストクラブを中心とした企業、Smappa!Groupの協力を得て制作された、新作映像とライトを用いた作品を発表します。新型コロナのクラスター発生源の代表格としてネガティブで根拠の乏しい風評を浴び、社会の一員であることから除外される風潮にある「夜の街」の人々とアーティスト、どちらも「水商売」(*1)とも言われる者同士の協働です。
また本展覧会では、森美術館でも展示されている《性欲電気変換装置エロキテル》の、別バージョンの新作を発表いたします。このエロキテルはかつて実際に歌舞伎町にあった街路灯を用い、ピンク広告を見た不特定多数の成人からの電話の着信電波をセンサーで感知して発光するもので、限りある資源の代替として「性欲」を電気変換し、永久に安定したエネルギーを供給すべく開発された作品です。どんなエネルギーも無駄にしない、まさにエコロジカルでサステイナブルな思想を作品として昇華させた、Chim↑Pom from Smappa!Groupの個性的な「パブリックアート」です。
加えて、森美術館に設置され育てられている「道」を「月の土地」のような発想と解釈で仮想「土地」として概念上坪分けし、NFT化する試みも行います。
Chim↑Pom from Smappa!Groupの代表作である《スーパーラット》は、EDI MAK(*2)のコミッションによる映像作品と共に、個展会場である森美術館内ではなく、長い協議を経てその経緯や今後のあり方を議論する場として作られた別会場、「ミュージアム+アーティスト共同プロジェクト・スペース」に展示されています。
Chim↑Pom from Smappa!Groupは、ハッピースプリングが開幕してからこの2ヶ月あまりの間に、その存在の周知徹底や限定的な予約システムの改善を美術館と話し合ってきました。4月からは予約も当日だけでなく会期中可能となるなど一部改善されましたが、共同スペースの一端を担うChim↑Pom from Smappa!Groupは、それまでの間に多くの方々が見逃したことを深刻に受け止め、今回の個展ではその作品も展示いたします(共同プロジェクト・スペースに行ける方は、是非そちらで!)。
「排除されても駆除されない」をキーワードに、懸命かつ明るい態度でみんなの「居場所」を切り開いていくChim↑Pom from Smappa!Group。
ダイバーシティやインクルージョンという概念が声高に謳われるようになり、どう実現していくか再検討や議論が活発になっている昨今。活き活きとして多様性をもった人間の姿を当然に社会が認め、さまざまな人々と共に生きるリアルとはどういうことなのか、また美術界はその概念をどう表現していくのかを問う展覧会です。
なお会期中にはSmappa!Groupを率いる手塚マキ氏(*3)や美術関係の方々などを招聘し、トークセッションを企画しております(登壇者・日時は追ってお知らせいたしますのでお楽しみに!)。
都市の公共性、消費主義、飽和と貧困、震災や原発、境界やメディアなど、我々が今生きる社会をテーマに、その鮮烈な活動と作品の多くはタブーや暗黙の了解を明るみに出し議論を巻き起こしますが、どのようなことにも真摯に向き合い、深度の高い議論を築いていく、国内外ともに異例の評価を獲得しているChim↑Pom from Smappa!Groupです。本展でも二項対立による「正論」を展開するのではなく、むしろ世の中に複数の考え方が存在することで、様々な議論を開ければと考えています。
我々ギャラリーは、Chim↑Pom from Smappa!GroupやEDI MAK、また今回ご協力を仰ぐSmappa!Groupや本展関係各者、それぞれの信念に全幅の信頼をおき、様々な方々とアートについてディスカッションを開く場になれましたら本望です。
オンラインの時代ですが、やはりアクチュアルな展覧会は現場で体験していただきたく、黄金週間の祝日も開廊し(日月は休廊)、Chim↑Pom from Smappa!Groupに伴走したいと思います。
みなさまには是非本展Chim↑Pom from Smappa!Groupのご高覧を賜りたく、ご来駕をお待ちしております。
ANOMALY
2022年4月吉日
本文註:
*敬称略、順不同
(*1)水商売
水商売(みずしょうばい)とは、先の見通しが立ちにくく、世間の人気や嗜好に大きく依存し、収入が不確定な業種や職業、およびそうしたものに従事する人を指す日本の俗語である。なお、日雇い労働者、農家、漁師など、収入が安定しない理由が世間の人気や嗜好でない職業は、水商売に含まない。
<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E5%95%86%E5%A3%B2>より抜粋, Accessed April 22, 2022
(*2)EDI MAK
1989年東京都生まれ。小平市ふれあい下水道館至近にて育つ。武蔵野美術大学至近にて勤務後、2つの名前を持つ映像作家に。
ドキュメンタリー至近作家としての名義では日本古来のバラエティ番組的手法を用いたドキュメンタリー作品を頻繁に制作。受賞作多数。EDI名義としてはクローズドなシーンでの映像制作などを手がける。
(*3)手塚マキ (Maki Tezuka)
歌舞伎町でホストクラブ、BAR、飲食店、美容室など20数軒を構える「Smappa!Group」の会長。1977年、埼玉県生まれ。歌舞伎町商店街振興組合常任理事。JSA認定ソムリエ。96年から歌舞伎町で働き始め、ナンバーワンホストを経て、独立。ホストのボランティア団体「夜鳥の界」を仲間と立ち上げ、深夜の街頭清掃活動をおこなう一方、NPO法人グリーンバードでも理事を務める。2017年には歌舞伎町初の書店「歌舞伎町ブックセンター」をオープンし、話題に。2018年12月には接客業で培った“おもてなし”精神を軸に介護事業もスタート。
近著に、『新宿 歌舞伎町』(幻冬舎)がある。
Chim↑Pom from Smappa!Group (Chim↑Pom改め)
卯城竜太・林靖高・エリイ・岡田将孝・稲岡求・水野俊紀により、2005年に東京で結成されたアーティストコレクティブ。
時代のリアルを追究し、現代社会に全力で介入したクリティカルな作品を次々と発表。世界中の展覧会に参加するだけでなく、独自でもさまざまなプロジェクトを展開する。
広島や福島などの被曝のクロニクルに対し、様々な当事者意識でリアクションをし、メディアを巻き込んだ議論を続発。 帰還困難区域内では、封鎖が解除されるまで「観に行くことができない」長期にわたる国際展「Don’t Follow the Wind」の発案と立ち上げを行い、作家としても参加、2015年にオープンし、いまも開催中。
2016 – 17年、「境界線」の機能と個の自由や関わりをテーマに、メキシコとアメリカの「壁」にアプローチ、国境沿いに「U.S.A. Visitor Center」としてのツリーハウスを建設。移民や国境問題に介入。
また結成当初より、「個と公」を表象した「都市論」をテーマに、さまざまなプロジェクトを公共圏で展開。毒に耐性を持つネズミを捕獲する「スーパーラット」(2006〜)、上空にカラスを集めて誘導する「BLACK OF DEATH」(2008.2013)、メンバーのエリイの結婚式をデモとして路上で行った「LOVE IS OVER」(2014)などの他、自らのアーティストラン・スペースに公共のあり方を実践する「道」自体を敷地内に取り込んだ「Chim↑Pom通り」(2016〜)など、ストリートの可能性を拡張してきた。
2017年、台湾で開催されたアジアン・アート・ビエンナーレでは、公道から美術館内にかけて、200mの道「Chim↑Pom Street」を敷き、公私を超えた独自のレギュレーションを公布、ブロックパーティやデモの場となり、伝説となる。
2018 年には、東京オリンピックに伴う再開発の中で、建て壊される直前の歌舞伎町のビルで制作したプロジェクト「にんげんレストラン」を発表。様々な人々と場所性が混じり合うライブなアートイベントとして、社会にスポンティニアスな生き方を提示し、大きな影響を与えた。
ほかにも大量消費・大量廃棄による環境問題や、メンバーの人生自体をテーマにした作品などにも取り組んできた。多くのプロジェクトを一過性のものとして消費せず/させず、書籍の刊行などによって議論の場やアーカイブを独自に創出。膨大なニュースの中で埋もれそうになってしまう事象への警鐘として、プロジェクトをさまざまな形に変容させながら継続している。
また同時代を生きる他のアーティストたちや様々なジャンルの展覧会やイベントの企画など、キュレーションも積極的に行い、アーティストの在り方だけでなく「周縁」の状況を変容、拡大させている。
そのプロジェクトベースの作品は、日本の美術館だけでなくグッゲンハイム美術館、ポンピドゥ・センターなどにコレクションされ、アジアを代表するコレクティブとして時代を切り開く活動を展開中。
ご来廊に際してのお願い
*非接触の体温計にて体温測定させていただくことがございます。
*3密を避けるため、できるだけ少人数でお越しいただきますようお願いいたします。
*マスクの着用と、入場前に手指のアルコール消毒のご協力をお願い申し上げます。
*発熱や咳等の症状があるお客様はご来廊をご遠慮くださいませ。また検温により、入場時に37.5℃以上の場合、ご入場をお断りさせていただきます。
弊ギャラリーの対応について
・スタッフは全員、毎朝体温を測定し、健康状態を確認のうえ出勤しております。
・換気を行ないながら、営業いたします。
・スタッフは手洗いや手指の消毒をし、マスク着用でご対応いたします。
・お客様がお手を触れる場所の消毒を徹底いたします。
展覧会開廊日と時間について
・今後の社会情勢により、営業時間の変更などや、やむを得ず休廊となる場合がございます。
・最新情報は随時ウェブサイトにてお知らせいたしますので、ご来場前にご確認くださいませ。