2023.9.7 (木) - 9.22 (金)
キュレーション
涌井智仁、石毛健太、BIEN
参加作家:
石毛健太
Kazquiz
菅野歩美
小林椋
篠崎裕美子
BIEN
町田太一
MES
runurunu
涌井智仁
渡邉早貴
協力:一般社団法人HAPS
開廊時間: 12:00 − 18:00
休廊日: 日月祝
クロージングイベント「Return of the Fly」: 2023年9月22日(金) 18:00-20:00
トークイベント「JUNK’S PORTSについて」:2023年9月16日 (土) 18:00 -
登壇者:涌井智仁、石毛健太、BIEN *敬称略
イベント詳細はこちらから
蠅、ゴミ、コンクリート、街路樹、プラスチック、メタルハライドランプ、自動車、舗装道路、LED、屑、自動販売機、タクシー、分泌、そして不幸な歩行者たち、運送トラック、ビルボード、夢の島…。
文明はむせ返るような悲劇であり、喜劇は埋立地に埋もれてしまっている。ジャンクは意味から解放された始まりとして、大地の皮下でその時を持っている。
人間の歴史は、営みと欲望の交錯が、文明の枠組みを形作る過程であり、それはしばしば埋立地や蝿、ジャンクの領域で現れます。本展覧会は、人類の文明とその痕跡、消費社会の果てに広がる埋立地の寓意を通じて、私たちの社会に折り畳まれた闘争の一端を捉えるための試みです。
「営み」という拡散したエネルギーは、絶え間ない生命の流れと不断の欲望の渦巻きとして、我々の目前に広がっています。ここでは、ジャンクと蝿、廃棄物や周縁的なモノたち、それらの望まれざる存在が、文明という幻想のカーテンの陰で、逆説的な生の一端を形成しています。
我々の文明は、進歩と発展の一方で、常に埋立地への欲望を抱えています。埋立地は廃棄物の成れの果て、我々が忘れ去りたいものの墓場であり、未来に置き去りにする一つの環境です。しかし、その地下に秘められた断片的な過去は、傷として我々の下に広がり続けています。
私たちの社会は絶え間なく新しいテクノロジーを生み出し、それらを次々にジャンク化することで、何とか維持されている歪な社会です。1秒先の未来を想像するために、非常に高いコストを払って、それらを次々に過去化していくのです。高速でドライブするこの代謝運動は、私たちに物事を効率よく忘れていくための訓練を行い、善意として生まれたはずのあらゆる物やテクノロジーは、次々に堕落していき、悪意と化します。
もはや人間の意志や行動が追いつけないほど消費化・高速化し、象徴が貧困化した社会で、今アートを立ち上げることは可能なのか。私たちはジャンクの中に寄宿するむせ返るような生命「蝿」のように、ただ都市の空間を逍遙しているに過ぎないのかもしれないのに。
しかし、社会を覆う、この神経症的な意味の秩序は恐らく幻想でしょう。ならば、私たちは改めて、都市の湾岸に埋め立てられたこの「新しい自然」に向き合う必要があります。それは、環境問題や都市空間を正常化するための何かではなく、私たちの内側に漂ってる不当な虚しさを解決し、真っ当な虚しさを手に入れるためです。蝿の集らない、この都市の意味の秩序が幻想ならば、蝿の集る「新しい自然」が作り出す散乱した無意味の中に故郷があると信じて。
これからも都市が呼吸をする限り、ジャンクは増えていく。ジャンクは腐肉と化し、大地となってジャンクを生み出し、ジャンクは腐肉と化し、大地となってジャンクを生み出す。蝿はそこに寄宿しながら都市を眺めている。
涌井智仁
「ジャンクス・ポーツ」展示風景