韓国で開催されるEXiS (Experimental Film and Video Festival)は、2004年より実験映画や現代の映像表現を専門に取り上げ、その紹介と創作の促進に貢献してきました。今年の同フェスティバルにおいて、牧野貴が新作《Double Phase》を出品、栄えあるグランプリ(Best EXiS Award)を受賞しました。
Best EXiS Award
牧野貴 《Double Phase》
<受賞コメント>
「韓国唯一の実験映画やビデオアートに焦点を置いた映画祭EXiSで受賞できたこと、大変嬉しく思っております。EXiSには2016年、2018年と二度訪れていますが、映画祭を支えるチームリーダー達の強さと優しさ、そしてボランティアの皆さんの純粋で若い力がとても印象的な映画祭でした。今回はコロナ禍の為に現地へ赴く事は出来ませんでしたが、このような難しい状況の中、映画祭を開催し、さらにはオンラインプログラムまで充実させ映画祭を成功に導いたEXiSチームの勇気と創造性に心より敬意を表します。」
2020年8月19日 牧野貴
<選評>
風景を見る時、そこに私たちは見えている以外の何かをも投影するものだ。
それは、映像体験として鑑賞者が記憶やアイディア、想像、思いを馳せるのと似ている。スクリーンを前に自身を映像に投影して、身体がイメージを通して別の場所に辿り着くかのようだ。例えば、牧野がこれまで※オーストラリアでみせたのは、私たちが知る映像の視覚体験とかけ離れたものだった。新作《Double Phases》がもつ強烈な視覚体験は、止めどない幾多のレイヤーから成るイメージによって、スクリーンを越えた異世界に見る者を招き入れ、そこで私たちは未知の到達点に出会う。これこそ、映像が成し得る最も理想的なフォルムの変換と考え、今年のBest EXiS Awardを贈る。
※受賞作《Double Phases》のロケーションはオーストラリアで行われました。
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