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涌井智仁

個展

God, I, Ego

2026年3月7日(土)- 4月4日(土)


開廊時間:12:00 - 18:00
日月祝休廊
オープニングレセプション:3月7日(土)17:00 - 19:00 *作家在廊
*レセプション中にパフォーマンス「パラノイド、人生は楽しむものか終えるものか」を開催いたします(時間非公開)。
*本展では不快な音が流れる作品があります。聴覚に懸念がある方は、ご自身の判断でご入場ください。



 
ANOMALYでは、2026年3月7日(土)から4月4日(土)まで、涌井智仁個展「God, I, Ego」を開催いたします。

涌井智仁(わくい・ともひと)は1990年新潟県生まれ、東京在住の美術家・音楽家で、パフォーマーとしての発表作もあり、新宿百人町に所在するオルタナティブスペース「WHITEHOUSE」のディレクター・キュレーターをつとめるなど、その活動は多岐に渡ります。

涌井は主にその美術家としての作品制作において、歴史における否定の連鎖(生物の淘汰や失われたテクノロジー、また「偶然」の否定)に着目し、それらを再検討することで「あり得た/あり得る世界」の可能性を探求しています。その実践はジャンルを横断し、既存の枠組みを撹乱、あるいは無効化するような活動として展開されています。

制作風景、2026
 
本展のタイトル「God, I, Ego」(ゴダイゴ)は、その文字どおり「神、私、自我」であり、それを様々なメディアやオーディオの廃棄物を媒体としながら、私たちが「神」や「私」と呼ぶ輪郭を問います。その輪郭は、神の反射として立ち上がり、世界に向けてかたちを与えられていることが示唆されます。そして「自我」とは、その反射を自分自身だと信じ続けようとする力であり、同時に、神から最も遠ざかろうとする意志でもあります。

また彼の興味は、神と人を媒介する「信仰」にもあります。あらゆる宗教的教義を生成AIに学習させ出力した作品《How to destroy angels》は、ランダムな異なる言説でありながら、それが結局、壮大な一つの真理に到達するかのような感覚を提示します。神と呼ばれるものの正体は、固定された超越的存在というよりも、無数の言説や信念、歴史的条件が重なり合うことで立ち上がる「構造」そのものなのかもしれません。

「Various Fires of Fire」展示風景、FOC、金沢、2024 撮影:竹久直樹
 
彼の作品の多くは、既存のテクノロジーを再読・再編集し、現代のみならず未来の視座をも射程に収めた批評的考察を通じて、支配的な価値体系に対するオルタナティブを提示しています。それは、従来のメディア研究が前提としてきた「新しさ」や「進歩」というテレオロジカルな理念(テクノロジーは常により高度で効率的な方向へ進化する)を批判的に再検討し、新旧のテクノロジーを横断的に接続しながら、世界に氾濫し堆積するメディアの廃棄物や不要物、「型落ち」を素材とし、AIやコンピュータ、オーディオ機器の特性を転用する方法を通して、文化およびメディア体験の歴史的連続性とその非連続的層を同時に照射する立場と言えます。すなわち、その実践は、自らを「メディア考古学」として定位する理論的な振る舞いです。

テクノロジーが人にとって有用である時代は終わり、テクノロジーが優位に立ち私たちの行動を形作るようになった現在、メディアの廃棄物や「型落ち」製品は「考古学」の範疇となり、それはもはや過去を懐かしむための遺物ではなく、現在そのものの構造を読み解くための層として私たちの前に現れます。
更新され、上書きされ、忘却されたデータや装置の断片は、時間の経過ではなく速度の加速によって堆積し、未来へ向かうはずの進歩の背後で、静かに沈殿していくようです。

「Everything is a Museum」展示風景、場所非公開、金沢、2024 撮影:高木遊
 
彼の標榜するこの考古学は、発掘によって真理を回収する営みではなく、むしろ、回収不能であること、意味が剥落していること、機能がランダムに失われていることそのものを引き受ける思考です。スクリーンの残像、規格外となったフォーマット、もはや再生もぎこちない記憶媒体は、人間の意図や主体性から離れ、テクノロジー自身の時間を語り始めます。

そこでは人間は創造者でも使用者でもなく、痕跡の一部にすぎません。メディアの廃棄物や型落ち製品が示すのは、私たちが何を作ったかではなく、いかに作らされ、いかに振る舞わされてきたかという履歴です。考古学となったメディアは、過去を掘り起こすのではなく、現在がすでに廃墟であることを暴き出しているかのようです。そしてその廃墟の中で、私たちはなお、行為し、知覚し、意味を結ぼうとする存在として立ち尽くすのかもしれません。

「JUNK’S PORT」展示風景、ANOMALY、東京、2023 撮影: 村田冬実
 
およそ10年ぶりとなるこの度の涌井の個展では、「百鬼夜行」とも思しき夥しい近作の羅列と、未発表新作のインスタレーションを展開します。展示される予定の作品は以下:

① MONAURALS、2025
② 弌、2024
③ Mint Used Junk、2025
④ そして配達員は星になったのだ、2025
⑤ 真昼のイヴェント(塩見允枝子「イヴェント小品集」より)、2024
⑥ 数の愛いはらからへ、2025
⑦ How to destroy angels、2024
⑧ HOWL、2025
⑨ かげとひかりのひとくさりづつ、2025
⑩ 数の愛いはらからへ(新作)、2026
⑪ 数の愛いはらからへ(新作)、2026
⑫ crossroad、2026
⑬ Go,Die,Go、2026
⑭ God,I,Ego、2026

数の愛いはらからへ、2025 撮影:涌井智仁
 
近年の集大成とも言える作品群と、新作との展開になる涌井智仁の個展を、ぜひその現場に立ち会い、ご自身の感覚で体験してください。


涌井智仁(わくい・ともひと)

1990年新潟県生まれ、東京在住の美術家・音楽家、オルタナティブスペース「WHITEHOUSE」のディレクター・キュレーター。
近年の主な展覧会に「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」(2024年、東京都現代美術館)、「電気-音」(2023年、金沢21世紀美術館)、「JUNK’S PORTS」(2023年、ANOMALY、東京)、「Dark Independents」(2020年、オンライン/都内某所)、「Long, Long, Long」(2016年、Garter、東京)、「nonno」(2016年、8/ART GALLERY/小山登美夫ギャラリー、東京)など。


  • 東京都品川区東品川1-33-10
  • Terrada Art Complex 4F
  • 開廊時間
  • 火・水・木・金・土: 12:00 – 18:00
  • 定休日: 日曜・月曜・祝祭日
  • tel & fax 03-6433-2988
  • info@anomalytokyo.com
  • Copyright © ANOMALY, All rights reserved.