2018年11月22日(木) - 2019年1月26日(土)
オープニングレセプション: 2018年11月22日(木) 18:00 – 21:00
Gallery hours: 11:00-18:00, 11:00-20:00 (金)
*日月祝、及び、2018年12月23日〜2019年1月14日は休館
「グランドオープン」展完成予想図
ANOMALYでは、2018年11月22日より、グランドオープン第一弾の展覧会として、Chim↑Pom「グランドオープン」を開催いたします。
Chim↑Pomは、2005年、卯城竜太、林靖高、エリイ、岡田将孝、稲岡求、水野俊紀の6人により東京で結成され、そのデビュー以来、積極的かつ変則的に、社会と個人の関係、ボーダー、今を生きる矛盾を、忖度なくあぶり出す作品を発表し続けてきました。
2011年MoMA PS1、2012年パルコミュージアム、2015年サーチギャラリー、そして2017年ダラス・コンテンポラリーで個展、また2012年にサンパウロビエンナーレ、上海ビエンナーレ、2017年にはリヨンビエンナーレやアジアアートビエンナーレなど、数々のビエンナーレに招聘されながら、東京・高円寺のキタコレビルを拠点に、歌舞伎町や広島、メキシコなど世界各地で、自主企画で様々な活動をしています。
2008年被爆地・広島市の上空に飛行機雲で書かれた「ピカッ」、また東日本大震災直後の2011年5月には岡本太郎の壁画「明日の神話」に原発事故を描いた絵を付け足したことが、大きな反響を呼びました。その後、東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域内で、封鎖が解除されるまで「観に行くことができない」国際展 ”Don’t Follow the Wind” の発案及び立ち上げ、また自らも参加するというチャレンジを続行中です。
その鮮烈な活動と作品の多くはタブーや社会問題に触れ、それでいて対象や関係者と笑い合えるところまでディープな関係を作る、という独特の手法で、国内外ともに異例の評価を獲得しているアーティスト集団です。
「グランドオープン」展では、彼ら特有の視点から「都市論」を展開します。
オリンピックを2年後に控えた東京の街が急速に変化していく中で、何が採択され、何が排除されているかを日々痛感し続けているChim↑Pomが、これまで連発してきた都市論にまつわるプロジェクトの集大成を、ANOMALYで結実させます。
公と個、パブリックとマジョリティの差異と、個 ≒「にんげん」。ANOMALYの「グランドオープン」では、まず総重量トン級の新作「ビルバーガー」を、直前に東京・歌舞伎町で開催されるイベント「にんげんレストラン」で制作し、運び入れます。「ビルバーガー」は、ビル階層の床を切り抜き、そのまま真下の1Fに積み重ねた巨大彫刻作品です。壊すこと、建築すること、この相反する二つのプロセスによって「Scrap and Build」を具体的に可視化していきます。作品タイトルは、各階層の残留物を床で挟み込んだその積み重なった姿に由来し、同時にファストフード的大量生産・大量消費を、街や都市の様相に重ね想起させます。
また、2017年台湾で開催されたアジアアートビエンナーレで発表された「道」も、台湾からロンドンでの展示を経由し、実際に運び入れます。
国立美術館内と外の公道に繋がる一本の長い道であったこの「道」は、Chim↑Pomによる独特のレギュレーションが人々との対話によって作り出され施行され、公道でも国立美術館でもない第三のパブリックスペースとして、台湾の美術館の敷地に開かれました。美術館の入り口をも繋げた道を前に、公とは、個とは、道とは、そして美術とは、様々な問いを来場者に投げかけ、最後はブロックパーティを開催するまでに育った「道」を、作品として昇華させます。
ほか、往年の作品をインスタレーションに取り込んでいくのとは別に、「個」としてのChim↑Pomが、およそ一ヶ月に及ぶ長い設営期間の中で、即興的に現場で作品を制作します。
都市計画によって造成される「場」のコンセプトや、見えない区分けによる「公と個の、ギクシャクした関係」は、キュレーションされた展覧会やクオリティを担保したアートフェアとアーティストの関係にも重なります。文脈から外れる者、もしくは逸脱する「かもしれない」ヘンな人やモノは、その場には見かけなくなりました。もちろん、万人に開かれた展覧会やフェアなど原理的にないのですが、しかしかつて佯狂者のようなアーティストが適当に混ざっていたおおらかな時代を思うと、整理整頓が行き過ぎているようにも思えます。
人は、在ることには気づけますが、無いことには気づきづらいものです。Chim↑Pomは本展で、「公」の場で見かけなくなった本来の主役であるべき「個」の面白さを即興的に立ち上げようと試みます。しかし、ANOMALYからするとこの即興部分は何がどうなるか現時点ではさっぱり不明。ですが、今まで数々の現場をインプロビゼーションで成功させて来た実績を信頼し、ご来場のみなさまと共に、楽しみに待つことにいたします。
今回Chim↑Pomが展開する「都市論」は、公から個という昨今の東京のまちづくりに反して、個から公への回帰と刷新を念頭に、「おもしろい個が、おもしろい公をつくる」、と語っています。
まさに戦後焼け野原の闇市やドヤ街から自発的に立ち上がった今の歌舞伎町の姿があるように、ならばギャラリーという特殊な場においてそのメインプレイヤーであるアーティストが作る、有機的な都市論の展開と作品を、我々も切望したいと思います。
会期中には、イベントも予定していますが、詳細はまた追ってお知らせいたします。
また、Chim↑Pomは、無人島プロダクションとANOMALYでダブル・リプレゼントすることになりましたので、合わせてお知らせ申し上げます。 ANOMALY最初のチャレンジ、平成最後のChim↑Pomの個展です。 どうぞよろしくご周知、ご来場のほどお願い申し上げます。